瓶の中で生を受けた時から決められている階級制度、家族という概念はなく、複数の異性とのカジュアルな交際、疲れたら合法ドラッグ。これにより平和と秩序が実現した社会。
この作品が描かれたのは大量生産の工業が興隆した1930年代。作者のオルダス・ハクスリーが描く「こんな未来になるだろう」って想像力もすごいですし、まあ大体そんな感じのことが実際に今起きている。
つまり、ユートピアはすでに実現可能性が見えてきて、現在もそこに向かって社会は進んでいる。しかし、それが本当に人類の幸福なのか。
ロンドンを舞台にしたとにかく明るいディストピア。結末はけっこう悲惨なんですけど。
「不幸になる権利を要求する」
おすすめです。
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たとえば、通帳をアプリに変えればモノがひとつ減る。初歩的な現代ミニマリズムの実践だと思いますが、これは紙の通帳という物質を減らして、スマホやPCの中に同様の機能を持たせようという取り組みと思います。
対して、本質的にモノを減らすというのは、銀行にお金を預けるという「概念をなくす」ことにある。銀行口座を解約して通帳の概念を無くすということ。そうして手元に出てきた紙幣や硬貨をどのように管理するのかを哲学することがミニマリズム思想の本懐ではないかと思うのです。そして、現金の管理は物理的にも精神的にも大変で、金という概念に縛られる暮らしはおよそミニマルではないので、お金は不要と考える。こうなると世捨人みたいな暮らしこそがミニマリズムの帰結ということになりかねません。
なので、社会性を維持しながら最低限の取捨選択とアップデートを繰り返すのが節度をもって目指すべき現代ミニマリズムの節度のように思います。
複雑で飽和した社会で、モノを減らして本質に集中して生きるとはどういうことなのか。物質的にも本質的にも最小限の暮らしを実現していくことは、同時に現代の資本主義社会が抱える問題に対しても実践していく価値がある興味深い考え方だと思います。
奥が深いのか浅いのか、しかしよくわからないので、謎に追ってしまうテーマ。
最近読んだ「より少ない生き方」という本では、著者が家族持ちのためか、モノを捨てまくることにおいてはあまり極端なタイプではなく、家族への理解の求め方などを含めて、ミニマリズムを実践することの価値、思想的な部分を理性的に語っています。これくらいがちょうどいい。
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フィンランドでは多くのビジネスマンが16時で仕事を終えて(残業することなく)帰宅するらしい。さらには日中に仕事の手を止めてコーヒー休憩をとることが法律で認められているんだとか。人口550万人くらいの決して大きくはない国で、経済活動に何より効率を重視したいという社会風潮の中、仕事の合間にこうしたリラックスの時間を取り入れるのは、モチベーションアップにもつながる検証結果が示されているそうです。
僕は仕事を終えたときにゆっくり飲むというのが習慣だったけど、むしろ根を詰めすぎないようにするための休憩として取り入れたほうがいいのかもしれないと思いました。
幸福度ランキング常連上位国のフィンランド方式を取り入れていると公言して、今日も仕事の合間に堂々とコーヒーをすすっています。
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著者・谷崎潤一郎氏は、日本の建築や工芸品(広義の意味での日常の文化)は薄暗い場所でこそ、その美しさが際立つように設計されているという。
独特の谷崎美学に添えて、より深い気づきを与える本書のビジュアルは写真家・大川裕弘氏。「空気を撮影する写真家」と称されるその人の絵づくりには、薄暗さの中にさすわずかな光で繊細な日本の美を表現しています。挿絵的に使われている写真にはうっとりため息が出ます。
この本、じつはかなり以前に学校の図書館で読んだことがありました。その時はずいぶん難しい本だなあと思っていましたが、昨年あたりに写真付きのビジュアルブックの体裁で発売されたということで読んでみました。写真がつくだけで理解度はぜんぜん変わります。
寝る前の10分。部屋を少しだけ暗くして、梅雨の雨音を聞きながら読んでいると日本ていいなあとしみじみしてきます。
デザイン従事者はもちろん、建築家、写真家、音楽家、美術系の学生、必読の書という前置きに疑う余地はありません。良書です。
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ヴィッセル神戸がおもしろくなって、昨年から本格的にJリーグを見るようになったのですが、他のチームのことはあまり知らなかったので、昨年一年を通してJリーグを俯瞰的に見てみようと思いました。詳しくなったらまた対戦の見方も変わってくることでしょう。どのチームにも歴史があり、ドラマがあるものです。
J3まであるJリーグは、プロ野球よりも圧倒的に地域が細分化されるので、地元感が強くなって面白い。
しかし、この紙面のデザイン。選手たちの魅せ方がカッコいい。総集編だからたぶんずっと本棚に置いておく人も多いだろうし、数年先に読み返しても色褪せないような写真になっているように思います。
ちなみに「ELGOLAZO(エルゴラッソ)」とは、スペイン語で「ファンタスティックなゴール」という意味なんだそうです。
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