ミニマリズムが気になる「より少ない生き方」を読んで

ミニマリストを名乗る人のブログがわりと好きでよく見たりしています。物質的にモノを減らすことに注力している人が多い印象です。それがある意味で必然で、現代のミニマリズムの在り方なんだと思います。

たとえば、通帳をアプリに変えればモノがひとつ減る。初歩的なミニマリズムの実践だと思いますが、これは紙の通帳という物質を減らして、スマホやPCの中に同様の機能を持たせようという取り組みです。

対して、本質的にモノを減らすというのは、銀行にお金を預けるという「概念をなくす」ことにある。銀行口座を解約して通帳の概念を無くすということです。

そうして手元に出てきた紙幣や硬貨をどのように管理するのかを哲学することがミニマリズムの本懐ではないかと思うのです。

そして、現金の管理は物理的にも精神的にも大変で、金という概念に縛られる暮らしはおよそミニマルではないので、お金は不要と考える。こうなると世捨人みたいな暮らしこそがミニマリズムの帰結ということになるのでしょう。

しかし、こういうタイプの人はなかなか見かけません。もはや禅の人とかスピリチュアリストと名乗っていてもおかしくはなく、ミニマリストでは見つからないのかもしれません。なにより、こういう考えは現代ミニマリズムからの逸脱とも捉えられます。

ですので、社会性を維持しながら最低限の取捨選択とアップデートを繰り返すのが現代のミニマリズム哲学なのかもしれません。

複雑で飽和した社会で、モノを減らして本質に集中して生きるとはどういうことなのか。どこまで可能なのか。物質的にも本質的にも最小限の暮らしを実現していくことは、同時に現代の資本主義社会が抱える問題に対しても実践していく価値がある興味深い考え方だと思っています。

奥が深いのか浅いのか、しかしよくわからないので、謎に追ってしまうテーマです。

最近読んだ「より少ない生き方」という本では、著者が家族持ちのためか、モノを捨てまくることにおいてはあまり極端なタイプではなく、家族への理解の求め方などを含めて、ミニマリズムを実践することの価値、思想的な部分を理性的に語っています。参考になるところが多かったです。